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NIGOがついに作った、“存在してはいけなかった”Nike Air Force 1
ココブランドショップ / 2026-05-20

いまの若い世代にとって、NIGOといえばHuman MadeやKENZO、あるいはVirgil Abloh時代のLouis Vuittonとの関わりから知った存在かもしれない。

でも、2000年代のストリートカルチャーをリアルタイムで見てきた人たちにとって、NIGOとNikeの関係にはずっと独特な緊張感があった。

理由はシンプルだ。

Bape Staという存在そのものが、あまりにも“危うい”スニーカーだったから。

Bape Staは、ただの模倣ではなかった

2000年代初頭、NIGOはNike Air Force 1のシルエットをベースに、まったく新しい解釈を作り上げた。

SwooshをスターLogoへ置き換え、当時のNikeではほとんど見られなかった大胆なパテントレザーや高彩度カラーを採用。Bape Staは瞬く間に、アジアのストリートシーンを象徴する一足になった。

もちろん問題もあった。

Air Force 1とあまりにも似ていた。

その後、Nikeは2023年にBapeを商標侵害で提訴することになる。しかし、その頃にはBape Staはすでに“伝説”として定着していた。

あのモデルは単なるコピーではなく、2000年代ストリートカルチャー特有の「rework」の象徴だった。既存のデザインを借り、誇張し、再解釈して、新しい価値へ変える。その精神そのものだった。

だからこそ、「NIGO x Nike Air Force 1」が現実になった瞬間、多くのSneakerheadが感じたのは驚きというより、“信じられなさ”だった。

こんなコラボ、本当に実現するのかと。

しかも今回のNikeは、本気だった。

この一足の本質は、コラボ名ではなく“形”にある

本当に詳しい人ほど、最初に見るのはカラーではない。

Shapeだ。

NIGOによるAir Force 1 “LO2”は、2001年当時のAF1 Shapeをベースに復刻されている。

細くシャープなtoe box、低めに設計されたシルエット、よりオリジナルに近いバランス感。

現在流通している一般的なAir Force 1とは、細部の印象がかなり違う。

AF1を長年追い続けてきたコレクターにとって、“2001 Shapeこそ本物”という感覚は強い。

実際、Nike公式も今回のプロジェクトで、NIGO自身がクラシックShapeの復活を強く希望したと説明している。

こういうディテールは、普通のユーザーにはほとんど伝わらない。

でもSneakerheadは気づく。

Air Force 1の完成度を決めるのは、結局いつだって配色ではなく、シルエットだからだ。

“LO2”は単なる装飾ではない

ヒールに入った「LO2」の刺繍を見て、単なるモデル名だと思った人も多いかもしれない。

でもこれは「LAST ORGY 2」を意味している。

90年代初頭、NIGOとUndercoverのJun Takahashiが手掛けていた伝説的カルチャー連載であり、その後のNOWHERE設立にも繋がる重要なキーワードだ。

今回採用されたブルーパープル系のパテントレザーも、単なるカラー選択ではない。

“Loyal Blue + Sail”の配色は、当時のNOWHERE店舗サインからインスパイアされていることをNike公式が明かしている。

さらに、shoe box、insole graphics、LO2フォントに至るまで、90年代原宿カルチャーの空気感を細かく再構築している。

だから、このコラボは今よくある「Logoを載せただけ」の企画とはまったく違う。

NIGOがやっているのは、自分自身の歴史を一足のスニーカーとして再編集することだ。

Nikeは、ようやくこの歴史を認めた

ここ数年、NikeはAir Force 1というモデルの“文化的価値”を改めて整理し直している。

Off-WhiteのAF1、fragment designのAF1、SupremeのBox Logo AF1。

それぞれが異なる時代のAir Force 1像を再定義してきた。

そして今回のNIGOコラボは、Nike自身が長年触れづらかった歴史を、正式に取り込んだようにも見える。

なぜならBape Staは、あまりにも影響力が大きかったからだ。

その存在は、BBC、Ice Cream、CLOT初期のスニーカーカルチャーにも繋がり、日本の裏原系ブランドによる“再解釈型スニーカーデザイン”にも大きな影響を与えた。

ある意味、このコラボはNikeによる“公認”にも近い。

あの歴史は、確かに存在していたのだと。

すでに“Archive”の空気をまとい始めている

販売価格は195ドル。

5月1日にロンドンのDesign Museumで開催される「NIGO: From Japan With Love」展で先行リリースされ、その後5月2日にHuman MadeおよびUndercover Aoyamaで発売された。

さらに興味深いのは、Nikeが今回を「NIGO Air Force 1 World Tour」の始まりと位置づけている点だ。

今後もNIGOのキャリアや人間関係をテーマにした新作が続くとされている。

多くの人にとっては、ただの話題性あるコラボに見えるかもしれない。

でも、Bape全盛期を知る世代にとって、この一足はもっと特別だ。

“Nikeに似ている”と言われたところから始まり、最終的に本当にNikeの歴史の一部になった。

そんな長いストーリーの終着点みたいなスニーカーだからだ。